転職回数の多さは優秀な証?判断基準はスキルの有無です

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転職回数が多い人材は優秀だから次の転職で不利になることはない。
こんな幻想を抱いていませんか?
残念ながら今の日本企業が転職回数の多い人材に下す第一印象はネガティブなことがほとんどです。
とはいえ転職回数が多い人材の中には優秀な方が多いことも事実。

転職回数が多い人材は優秀かそうではないのか。
この問いに対する回答はジョブ型雇用が普及しても働く場所に困らないかどうか、すなわち専門性が高く限られた人材しか持たない限定的なスキルを持つ人材なら優秀だから転職回数が多いと判断できます。

この記事では転職回数が多い人材に対して日本企業がネガティブな印象を抱く理由を解説します。
少し厳しいことを言うと、この理由を知らないまま転職を繰り返す人の末路は人生が詰んでしまう可能性が高く早急に軌道修正する必要があります。
本記事が今後のキャリアプランを考える参考になれば幸いです。

Contents

転職回数が『多い』と判断される基準

出典:Adobe Stock

そもそも転職回数は何回目からが多いと判断されるのでしょうか。
求職者・人事採用担当者の目線で転職の回数が多いと判断できる目安をご紹介します。

求職者目線で転職回数が多いと判断される基準

転職回数が多いかどうかの判断は年代によって目安が異なります。
以下はリクナビNEXTが求職者を対象に実施した年代別転職回数のアンケート結果です。

年代別転職回数データ

出典:転職回数が多いと不利?年代別の転職回数と採用実態|リクナビNEXT

アンケートの結果より各年代で上位一桁%になる転職回数は次の通りです。

20代 2回以上
30代 4〜5回以上
40代 6回以上
50代 6回以上

各年代で上表の転職回数に該当する場合は同年代の中で相対的に転職回数が多いと判断できます。
例えば35歳の方であれば転職回数が6回を超えると同年代の中では転職回数が多いといえるでしょう。

なお、一部の障害(ADHDなど)ではその特性上1つの会社に長く勤めることが難しく、10回以上転職を繰り返してしまうケースもあるようです。

人事採用担当者目線で転職回数が多いと判断される基準

それでは人事採用担当者は何回目から転職回数が多いと判断するのでしょうか。
以下はリクナビNEXTが人事採用担当者を対象に実施したアンケート調査の結果です。

転職歴が気になる回数データ

出典:転職回数が多いと不利?年代別の転職回数と採用実態|リクナビNEXT

企業によって目安が大きく異なるため一概に『この回数以上は多いと判断される』とは断言できませんが、40%の企業で転職歴が3回を超えると気になると回答していました。

とはいえ1回の転職歴でも気になる企業やそもそも転職回数は気にしないという企業も存在するため転職の『回数』自体はそこまで敏感になる必要はないといえます。

日系企業が転職回数が多い求職者にネガティブな印象を持つ理由

出典:Adobe Stock

転職回数が多いと必ず転職活動で不利になるとは言い切れませんが、第一印象でネガティブな印象を持たれる可能性は非常に高いです。

この理由は日本の転職に対する考え方がおかしい訳ではなく多くの日系企業の雇用形態がメンバーシップ型だからです。

メンバーシップ型雇用とは

年功序列、終身雇用、新卒一括採用などを前提として職務を限定せず総合職として採用する雇用システムのことです。
企業のメンバーとして職種や勤務地、時間外労働は会社の命令次第という日本独特の正社員雇用スタイルで日本型雇用とも呼ばれています。

【メンバーシップ型雇用の特徴】

採用方法 新卒一括採用、入社後に配属部署を決める
仕事の範囲 職務内容が限定されず業務範囲が多岐に渉る
求められる人材 広範囲な業務をこなせるゼネラリスト、コミュニケーション力
キャリア 転勤・異動が伴うことが多い
給与 年功序列
人材育成 企業主体の教育・育成プログラム
人材の流動性 終身雇用が一般的で解雇や転勤を想定していない

メンバーシップ型雇用は「会社にマッチする人材」を採用するための雇用システムであり、長く勤めてくれる人材を優遇する傾向があります。

日系企業が転職回数が多い求職者にネガティブな印象を持つ理由

  • 飽きっぽいのでは?
  • 忍耐力がないのでは?
  • 人間性に問題があるのでは?

転職回数が多い人材に対して人事採用担当者が上記のようなネガティブな疑念を抱く理由は、日系企業は会社のために尽くしてくれる人材を採用したいからです。
メンバーシップ型雇用の場合、会社と社員間には絶対的な主従関係があります。
つまり、メンバーシップ型企業が社員に求める条件の根底には会社の命令に忠実に従う人材であることが隠れています。
転職回数が多い人材は会社の命令に忠実に従わない=扱いにくい人材の可能性があると懸念されるためネガティブな第一印象を持たれます。

メンバーシップ型雇用企業は『キャリアアップのための転職』でもネガティブな印象を持つ

過去の転職理由を説明する際に『スキル・キャリアアップのため』と回答するとポジティブな印象を持ってもらえると主張する方がられます。
一見前向きな転職理由のため企業から高い評価が得られると思われがちですが、実はメンバーシップ型雇用の日系企業に対してこの回答は地雷
なぜなら、企業側は『うちの会社に入ってもスキル・キャリアアップのためにまた転職していくのではないか?』と疑念を抱き警戒心が更に高まるためです。
この疑念を持たれた状態では『一生御社のために尽くします』と言ったところで不信感しか抱かれません。

転職回数が多くなるとメンバーシップ型企業への説明はどう転んでもネガティブな印象を持たれます。
これが転職回数が多くなると転職が難しくなる1番の理由です。
もはや介護・子育て・結婚・離婚などの一身上の都合でしか100%納得はしてもらえないでしょう。

海外は転職するのが当たり前の文化

出典:Adobe Stock

転職回数を気にするのは日本だけでしょうか?
日本では終身雇用が主流で転職にネガティブなイメージを持たれがちですが、海外は転職するのが当たり前の文化です。

海外の転職事情

アメリカ、ヨーロッパ(イギリス)、中国の転職事情は下表の通りです。

国名 1社の在籍期間 情報ソース
アメリカ 4.2年 U.S. Bureau of Labor Statistics: Employee Tenure Summary
イギリス 5年 BBC News: How long should you stay in one job?
中国 1年半〜2年半 Job-hopping generation

仮に23〜65歳までの42年間勤務すると仮定すると各国の転職回数は以下の通りです。

  • アメリカ:10回
  • イギリス:8.4回
  • 中国:17.2〜28回

中国の転職回数が一際目立ちますが、アメリカ・イギリスも日本より生涯の転職回数が圧倒的に多い結果です。

海外ではなぜ転職回数がここまで多いのでしょうか?
その理由は海外の雇用形態がジョブ型雇用だからです。

ジョブ型雇用とは

企業が職務内容・勤務地・労働時間などの条件を明確化して就業者と雇用契約を結び、就業者は契約の範囲内のみで働くという雇用システムです。
基本的には別部署・他拠点への異動・転勤が発生することはなく、昇進や降格もありません。

【ジョブ型雇用の特徴】

採用方法 職務記述書によって入社後の業務内容が定められており、求職者のスキルに応じて採用される
仕事の範囲 専門性が高く、限定的
求められる人材 専門性の高いスペシャリスト
キャリア 基本的には転勤・異動がない
給与 成果主義
人材育成 自主的なスキルアップが求められる
人材の流動性 転職や解雇のハードルが低く、流動性が高い

ジョブ型雇用は「会社にマッチする人材」ではなく「仕事内容にマッチする人材」を採用するための雇用システムです。

ジョブ型雇用では転職回数が多くなる理由

大前提としてジョブ型雇用では終身雇用は約束されておらず1つの会社で長く勤めるという概念は存在しません。
加えて企業側・社員側それぞれに転職回数が増える要因があります。

転職回数が増える企業側の要因

ジョブ型雇用では雇用契約を結ぶ際に業務内容や勤務条件が明確に決められます。
そのため、契約内容を達成できない社員は契約違反として簡単に解雇されます。
ジョブ型雇用では不要なコスト(人件費)は簡単に切り捨てられます。

ジョブ型雇用の企業では『高給取りの働かないおじさん』が存在しません。

転職回数が増える社員側の要因

ジョブ型雇用に求められることは愛社精神ではなく専門性の高いスキルです。
そのため「1つの会社に長く勤め続けること」が要求されることがなく専門性の高いスキルを持っていれば待遇の良い会社へ常に転職し続けれます。

日本でもジョブ型雇用が浸透しつつある

海外で主流のジョブ型雇用ですが、実は近年日本でも注目が集まっており今後はジョブ型雇用が主流になるといわれています。
その理由は次の5つです。

メンバーシップ型雇用の継続が難しくなった

メンバーシップ型雇用は会社が社員に終身雇用を約束する雇用システムであり『経済が今後も更に成長していくこと』が前提です。
しかし、日本の経済の成長は既に成熟しており今後の飛躍的な成長は見込めない状況です。
2019年5月にトヨタ自動車の豊田章男社長が終身雇用の維持は難しいと発言したことも社会に大きなインパクトを与えました。

専門職の人手不足解消のため

現在の日本では少子高齢化が進んでおり労働人口が年々減少しています。
この影響により様々な業界が人手不足に悩んでおり専門的なスキルを持つ人材の争奪戦が始まっています。
専門性の高い人材を効率よく獲得するためにもジョブ型雇用への転換が急がれています。

専門性を高めて国際競争力を高めるため

専門職の人手不足は企業の価値を下げることに繋がり日本の国際競争力の低下という事態を引き起こしつつあります。そのため、競争力の高い外資系企業に市場を独占されてしまう可能性が非常に高いです。
外資系企業に対抗するためにはジョブ型雇用により専門性の高い即戦力となる人材を獲得する必要があります。

多様な働き方に対応しやすい

日本政府の推進する働き方改革を皮切りに人々の働き方は多様化しています。
近年ではワークライフバランスを重視する人が多くなり働くことが全てのような考え方は過去のものになりつつあります。
このことは国が進めている男性の育休取得推進も後押ししており、働く時間・場所に制約があるメンバーシップ型雇用は現在のニーズとは大きく乖離しています。
仕事さえできていれば働く時間・場所に制約がないジョブ型雇用は今の国民にとって理想の働き方になりつつあります。

テレワークや時差出勤などで社員の管理・評価が難しくなった

従来のメンバーシップ型雇用は社員が会社に出社して働くことが前提でした。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミック以降は多くの企業でテレワークや時差出勤を実施せざるを得ない状況に陥り管理職が社員を一律に管理・評価することが難しくなりました。
その点ジョブ型雇用であれば業務内容や評価基準が明確化されているためテレワーク・時差出勤を導入しても社員の評価に困らないというメリットがあります。
良くも悪くもジョブ型雇用はプロセスは度外しで結果が全ての雇用形態です。

転職回数が多い人が注意すべきポイント

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冒頭でも述べた専門性が高く限られた人材しか持たない限定的なスキルを持つ人材か否かで注意すべきポイントが大きく変わります。

限定的なスキルを持つ人材

あなたが専門性が高く限られた人材しか持たない限定的なスキルを持つ人材なら次回の転職で注意すべきポイントは特にありません。
強いていうなら待遇の下がる転職はしないことぐらいです。
限定的なスキルを持つ人材なら過去の退職理由も明確ですしジョブ型雇用に転換しても就職難に陥ることは考えにくく、むしろ好都合です。
これまでと同様に限定的で専門性の高いスキルを磨き続けてより待遇の良い企業へ転職し続けてください。

限定的なスキルを持たない人材

『専門性が高く限られた人材しか持たない限定的なスキル』を持たない人材なら要注意。
ジョブ型雇用が普及すると正社員として働ける会社が無くなる可能性が高いです。
おそらくこれまでに何度か待遇が下がる転職も経験しているのではないでしょうか。
限定的なスキルを持たない人材が生き残る方法は次の2つです。

限定的で専門性の高いスキルを身につける

あえて言うまでもないことですがスキルを持たないならスキルを身につければ良いだけです。新たな挑戦を始めることに年齢は関係ありません。大事なことは行動するかしないか。ジョブ型雇用が普及しても生き残りたいなら手に職をつけましょう。
ちなみに今身についているスキルが限定的で専門性の高いものか判断ができないなら第3者に客観的に評価してもらうことがおすすめです。
転職エージェントなど無料で利用できるサービスを活用して自身の市場価値を評価してもらいましょう。

会社の中核を担うベテラン社員になる

新たなスキルを身につけることが難しいなら在籍している会社で上を目指す必要があります。
ジョブ型雇用で流動性が高いのは現場プレーヤーです。つまり、管理職や会社経営に関わる立場の人間はそこまで入れ替わりは激しくありません。もちろん解雇される可能性はゼロではありませんが末端の平社員より頻度は低いでしょう。

転職回数の多さは優秀な証?判断基準はスキルの有無です
のまとめ

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 転職回数が『多い』と判断される基準
    ▶︎年代別の基準
    – 20代:2回以上
    – 30代:4〜5回以上
    – 40・50代:6回以上
    ▶︎人事採用担当者の基準
    – 3回以上
  • 日系企業が転職回数が多い求職者にネガティブな印象を持つ理由は日系企業の雇用形態がメンバーシップ型であり自社に長く勤める人材を優遇するため
  • 海外ではジョブ型雇用が一般的であり、1つの会社で長く勤めるという概念が存在しないため転職回数が多い
  • ジョブ型雇用は専門性の高いスキルありきの雇用システムであり転職・解雇のハードルが低く人材の流動性が高い
  • 転職回数が多い人が注意すべきポイント
    ▶︎専門性の高いスキルを持つ人材:待遇が下がる転職はしない
    ▶︎専門性の高いスキルを持たない人材:スキルを身につける、会社の中核を担うベテラン社員になる

 

同世代の平均より転職回数が多く、かつ待遇が下がる転職を繰り返しているなら今後就職難に陥る可能性が非常に高いです。
就職難に陥らないためにも自分には専門性の高いスキルが身についているか、このことを一度立ち止まって考えてみてください。

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