「会社を辞めよう」と決めたとき、まず頭に浮かぶのが「退職届ってどう書けばいい?」「退職願って必要?」という疑問。そして、中には「辞表」との違いがわからないという方も多いのではないでしょうか?
実はこの3つ、似ているようで意味も使う場面もまったく違うんです。
この記事では、「退職届」「退職願」「辞表」の違いとそれぞれの正しい使い方、提出のタイミング、書き方のポイントまで詳しく解説します。
退職届・退職願・辞表の違いとは?
退職願とは会社に“退職の意思”を伝える書類
退職願は、「会社を辞めたい」と希望することを伝える文書です。
あくまで“願い”であり、会社が承認して初めて退職が成立します。
特徴:
- 会社への退職の申し出
- 労働者の意思を伝える段階
- 撤回が可能
- 主に退職交渉の入口で使用
◆退職届とは退職の“最終決定”を通知する書類
退職届は、退職の意思が確定し、会社との話し合いも終わった後に提出する書類です。
一方的な通告となることもあり、原則として提出後の撤回はできません。
特徴:
- 退職を確定させる正式な届け出
- 一方的な通知と見なされる
- 退職日はすでに決定済み
- 撤回は原則不可
◆ 辞表:役職者や公務員が使う“身分を辞する”書類
辞表は、会社の取締役や役員、公務員などが自らの役職や地位を辞する際に使う書類です。
一般社員や一般職の方は通常使用しません。
特徴:
- 役職・地位を辞める意志を表明
- 使用者:取締役、課長以上、管理職、公務員など
- 内容は「辞意を表す」よりフォーマルで格式高い
違いを一覧で比較!
| 書類名 | 意味 | 対象者 | タイミング | 撤回可否 |
|---|---|---|---|---|
| 退職願 | 退職の希望 | 一般社員 | 退職を相談したいとき | 可能 |
| 退職届 | 退職の通告 | 一般社員 | 退職日確定後 | 原則不可 |
| 辞表 | 地位・役職を辞する表明 | 役員・管理職・公務員 | 辞任を決意したとき | 状況により |
どれを使えばいい?立場と状況で選ぼう
◎ 一般社員の場合
- まずは 退職願 を提出して相談
- 退職日が確定したら 退職届 を提出
◎ 課長や部長、取締役、公務員の場合
- 辞表 を使うのが基本
- 辞表には「退職」ではなく「辞任」と記すのが一般的
各書類の正しい書き方と文例
退職願・退職届の基本構成
- 提出日
- 宛名(例:株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇様)
- 自分の所属・氏名(捺印)
- 件名(退職願または退職届)
- 本文(退職理由・退職日)
- 結語(以上)
文例|退職願(縦書き)
令和◯年◯月◯日
株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇様
営業部 〇〇〇〇(印)
退職願
私儀
一身上の都合により、令和◯年◯月末日をもって退職いたしたく、
ここにお願い申し上げます。
以上
◆ 文例|退職届(縦書き)
令和◯年◯月◯日
株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇様
営業部 〇〇〇〇(印)
退職届
私儀
このたび一身上の都合により、令和◯年◯月末日をもって退職いたします。
ここに退職届を提出いたします。
以上
◆ 文例|辞表(役職者向け)
令和◯年◯月◯日
株式会社〇〇
取締役社長 〇〇様
取締役 〇〇〇〇(印)
辞表
このたび一身上の都合により、
取締役の職を辞したく、ここに辞表を提出いたします。
以上
提出のタイミングとマナー
就業規則を確認する
ほとんどの企業では、「退職の〇日前までに申し出ること」といったルールがあります。
就業規則に沿ってスケジュールを立てることが大切です。
民法上の退職ルール(正社員)
民法627条により、2週間前に通告すれば退職は有効。
ただし会社との関係性や円満退職を望む場合は、1ヶ月前の提出がベターです。
よくあるQ&A
Q. 一般社員でも辞表を使ってもいいの?
→ 基本的にはNGです。辞表は役職者向けであり、社員が提出するのは「退職願」か「退職届」です。
Q. 退職願と退職届、両方出す必要はある?
→ 基本的にはどちらか一方でOK。ただし、退職願→退職届の流れで2回提出することで、より丁寧な印象になります。
Q. メールやLINEで伝えてもいい?
→ 初回は口頭で伝えるのがマナー。書面提出が正式な記録となるため、LINEやメールだけでの退職は避けましょう。
まとめ|退職願・退職届・辞表を正しく使い分けよう
退職時に使う書類には明確な違いがあります。使い方を間違えると、失礼な印象を与えたり、トラブルになる可能性もあります。
- 一般社員:退職願 or 退職届
- 役職者・公務員:辞表
- 提出順序は「退職願 → 会社と相談 → 退職届」が基本
正しい知識を持っていれば、スムーズで円満な退職が実現できます。
未来の自分のためにも、誠実に、そして丁寧に退職の準備を進めていきましょう。


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